検事は法律家であるという原点に立ち返るべき!(その1)
投稿者 admin 日時 2011年2月22日
最近、被告人の自白調書が争われた恐喝事件で、当時、自白調書を作成した女性検事が裁判所で証人として尋問を受け、その中で、検事が作成した自白調書への署名を被告人(当時は「被疑者」)が断ったところ、女性検事が被告人に「ぶち切れますよ」と言ったため、被告人が自白調書に署名したという記事がありました。
「ぶち切れる」という言い方は、漫画から来た表現だと思うのですが、大げさで、多少可笑しさを伴う感じがあります。ただ、取調べで、女性検事からこう言われると、すごみがあったのかもしれません。
この記事で私が気になったのは、ぶち切れ発言よりも、この女性検事が取調べのときに作成したメモを破棄したことです。最高検から取調べのメモを適正管理するするよう通達があっていたにもかかわらず無視して破棄しているのです。正確な情報かどうかわかりませんが、大半の検事が取調べメモを破棄しているといううわさもあります。もし、事実なら、公益の代表を自負する検事として許されないことです。
ところで、なぜ、検事が取調べメモを破棄するのか。取調べメモを残しておくと弁護人から取調べメモの証拠開示請求を受けたときに提出しなければならなくなり、その結果、裁判所に自白調書を採用してもらえなくなるおそれがあるからです。検事が有罪の立証のために無理なことでもやるという意味で、レベルは違いますが、大阪地検特捜部で証拠を改ざんした事件と共通した問題を感じます。 私は、こうした事態を防ぐためには、一刻も早く、取調べの全面的な可視化をすべきだと考えています。
紛争の解決法
投稿者 admin 日時 2011年2月6日
法律用語の使い方について
投稿者 admin 日時 2011年1月31日
法律に用いられている用語や,法律家の用いる言葉には特殊なものがいくつかあります。
代表的なものを幾つか取り上げてみましょう。
「悪意」 日常生活では,他人を憎み,害を加えようとする気持ちのことを指しますが,民法の中で用いられる場合,単に特定の事実を知っていることを指し,価値判断は含まれていません。
「業務」 日常生活では職業上の仕事のことを指しますが,刑法の中では,"人が社会生活を送る上での反復的な社会活動や私的な行動"という意味になります。
「果実」にも,法的な文脈で用いられる場合には,家賃や利息などある物から生じる収益物全体を指すことになります。
その他,接続詞や副詞の使い方にも特有のきまりがあります。
どの専門分野にも特有の表現やことばはあるものですし,文章の意味を正確に伝えるためにはそれなりに有用であることは間違いありません。
しかし,法律が社会一般に通用する規範として存在していることに照らすと,法律用語もあまり日常生活の言葉と離れるべきではないといえますし,もし法律用語の特有さのために法律が使いにくいとか,法的な手段をとることに躊躇するようなことがあるなら,それは解決するべき問題であると思います。
近年,民法や刑法,商法など主要な法律が現代語化されるなど,法律の条文もできるだけわかりやすくすることが目指されています。私達実務家も,意味の正確さを保ったまま,わかりやすい表現を用いていかなければならないと思いながら,仕事に取り組んでいます。