法律コラム

セブンーイレブン福岡判決(その1)

投稿者 admin on 10月 4, 2011

1 9月15日、福岡地裁は、セブンーイレブンに対し、元加盟店のS氏に、損害賠償として220万円の支払いを命じる判決を出しました。この事件は、私が弁護団の一員として3年間、取り組んだ事件なので、2回に分けて紹介したいと思います。今回は、事件の内容と判決を紹介し、2回目に、事件の背景と判決の意義について書きたいと思います。

2 Sさんは、福岡市で平成9年4月から平成20年1月まで、セブンーイレブン・ジャパン(以下、「セブン」と言います)との間で、加盟店のフランチャイズ契約を結んで、コンビニの店を経営しました。セブンに対するSさんの請求はいくつかありますが、ここでは2点だけ挙げます。1点目は、セブンは、Sさんにロイヤリティ(チャージ)の算定方式について説明義務を果たさなかったこと、2点目は、セブンは、デイリー商品について販売価格を拘束して、値下げ販売をさせなかったことです。

3  判決は、第1点について、「チャージは、加盟店に対する商号・商標等の使用の許諾やノウハウの供与に対する対価として本部に支払われるものであり、本部に対する加盟店の負担となるものであるところ、その算定方法は。加盟店がフランチャイズ店の経営によってどの程度の利益を得られるかを予測し、加盟店基本契約を締結すべきか否かや、フランチャイズ店をどのように経営すべきかを的確に判断するために重要な事項といえる。したがって、当該契約の契約内容、契約締結前後の経緯、加盟店になろうとする者又は加盟店の知識及び経験等の事情によっては、本部は、当該契約に付随する信義則上の義務として、加盟店になろうとする者又は加盟店に対し、チャージの算定方法について説明すべき義務を負う場合があるというべきである。」、「そして、被告方式においては、チャージ算定の基礎となる売上総利益の算出において、総売上原価から廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価が控除されるため、一般的な方式、すなわち売上総利益の算出において売上原価から廃棄ロス原価及び棚卸原価は控除しない方式と比較して、加盟店にとって不利な方式となっている。このように、一般的な方式と比較して廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価に相当する分だけロイヤリティの額が高くなることについては、本件契約書から明確に読みとることができず、加盟店となろうとする者が自らこのことを理解するのは容易でないといわざるを得ないから、被告としては、上記のような被告方式が一般的な売上総利益の算定方式とは異なることについて、加盟店となろうとする者が理解できるように配慮する必要があるといえる。以上述べたことからすれば、被告は、原告に対し、チャージの算定方法(被告方式)について、チャージ算定の基礎となる売上総利益の算出において売上高から控除される「売上商品原価」には廃棄ロス原価及び棚卸ロス原価が含まれないことを明確に説明すべき義務を負うものというべきである。」とし、被告は原告に契約締結前から契約締結後にかけて、被告方式について明確な説明をしなかったとして、被告は説明義務に違反したと判断した。しかし、原告は、契約締結前に、被告の担当者から、廃棄ロス原価が営業費の一つとされ、これをコントロールすることが利益につながることについて説明を受けて契約を締結したものであるとし、原告が被告から被告方式について説明を受けていなかったからといって、廃棄ロスを減らすために値下げ販売をおこなうことに思い至らなかったとはいうことができないとして、説明義務違反と損害との間の因果関係を否定しました。

   第2点について、判決は、「・・・これらの事実によれば、被告は、原告に対して値下げ販売をやめるように指導することで、原告に対してその販売する商品の販売価格を標準小売価格に維持しようとし、原告の商品の販売価格の自由な決定を拘束したものというべきであり、相手方とその取引の相手方との取引を不当に拘束する条件をつけて、当該相手方と取引を行っているものと認められ、かつ、上記拘束条件が原告の事業活動におおける自由な競争を阻害するおそれがないとはいえないことは明らかで、被告の上記行為に正当な理由があるものということはできないから、「不公正な取引方法」13項の拘束条件付取引に該当する」、「被告が原告に対して値下げ販売をやめるように指導した行為は、拘束条件付取引という不公正な取引方法を用いたものというべきであり、独占禁止法19条に違反するものと認められる」と判断し、被告に対し原告に金220万円の賠償をするよう命じました。

    この判決は、Sさんが請求した額のわずか8%しか賠償を認めませんでした。通常の民事事件では実質的には敗訴です。しかし、本件に限っては、私たち弁護団は画期的な判決と評価しましたし、セブンはおそらく負けたと感じていることでしょう。その理由は次回説明します。