法律コラム

「敷引特約」の有効性に関する最高裁判決が出されました

投稿者 admin on 4月 20, 2011

3月、4月は転勤等に伴い異動の多いシーズンですが、これまで借りていたマンションなどの賃貸物件を退去する際には、「敷金がどれくらい返ってくるのか」が気になるところです。

この点、退去後に不動産屋さんから届いた敷金の清算に関する明細などをよく見てみると、「敷引3か月・・・12万円」などの記載を見かけることがあります。この「敷引」とは、預けていた敷金から、家賃の数ヶ月分など一定の金額を予め控除するというものですが、このような「敷引特約」が認められるのか、消費者に一方的に不利益な契約として無効であるかどうかについて、平成23年3月24日に、最高裁判所が初めての判断を示しましたので、ご紹介します。

この判例は、京都市内のマンションのケースで、賃料が9万6000円、保証金(敷金)が40万円・礼金なしで、「敷引特約」では、契約締結から退去までの経過年数に応じて18万円~34万円(賃料の2倍弱ないし3.5倍強)を敷金から控除するとされていました。

賃借人は、2年未満の退去であったにもかかわらず、「敷引特約」に基づき、40万円の敷金のうち21万円が控除され、19万円しか返還されないのはおかしいとして、敷金全額を返還するように裁判を起していました。

最高裁判所は、一般論として、「敷引特約」については、紛争を未然に防止するなどの観点から、原則として「有効」であるとしながらも、敷引金の額が、通常想定される補修費用などの金額と比較して高額に過ぎる場合には、近隣の建物の賃料の相場と比較して大幅に低額であるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条に反し、「無効」であるとの基準を示しましたが、具体的な事案では、敷引金の額が通常想定される補修費用と比較して高額ではないなどの理由により、有効であると判断しました。

 この判例の事案は、敷金から控除する金額を退去までの経過年数に応じて1年未満~5年以上までの6段階で敷引の金額を定めているなど、比較的に細かな「敷引特約」が定められていたケースであり、そのような点が有効との判断に影響したのかもしれません。

いずれにしても、マンションやアパートを借りる際には、退去時の敷金返還に関するトラブルを防ぐ意味でも、賃貸借契約書に「敷引特約」の記載が入っていないか、入っていれば、その内容について、よく確認をする必要があるといえます。